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どうして、こんな書き方をするのだろう。
何故、こんな書き方をするのだろう。

『歌舞伎座の客は芸をわかっているのか?』

渡辺保氏は総タイトルをつけてコラムを書いていた。
普段目を通すことのない「太陽」という雑誌の中に苑ページを見た時に私の気持ちを何と表現したら良いのだろう。仮にも劇評家である氏がここまで書くのは愛好者に対しての暴言にも取れる。
そのコラムとはおおよそ次のような内容である。



90年1月の歌舞伎座で、老夫婦が「格段の差だな。」と話していた。
氏は梅幸丈の静御前と猿之助の忠信のことだと思い、もちろん梅幸丈の方が芸が上に決まっていると思いつつ聞いていると、二人は猿之助の方が上だと言っていたので驚いた。
そして、老名優の芸よりも若い人間の新鮮さがいいという考え、古典敬愛の欠如、さらには老人は引っ込めばいいという老人蔑視の一般社会の論理を歌舞伎座の観客には拒否してもらいたいがどうだろうかと結んでいる。
氏はさらに、梅幸丈と猿之助丈の間の悪さ(猿之助丈に非があると説明)を見て「つくづく、松緑という亭主を失った梅幸が気の毒だった」と、そして、現代の風潮は目で見えるものにしか感動しない、心で感じることをしないなどと嘆いている。


しかし、私は問いたい。
『見せる事から発生したのが舞台芸術なら、まずは目に見えることが大切で、心はその見えるものに内包されいるものではないのか?』
『人間国宝なら、老名優なら、必ず人も胸を打つ芸が見せられるのか?』
『名門出身なら名優なのか?』
『彼らは常に最上の舞台を勤めているといえるのか?』

88年12月に團十郎丈と玉三郎丈の括「於染久松色読販」を観た。
私はこの年の春に人から勧められて歌舞伎を観はじめたばかりで、團十郎丈については海老蔵上時代、玉三郎丈と数々の舞台を勤めてきた役者、十二世市川團十郎を継ぎ、門弟筋にまで名優を出すほどの名門出身という知識くらいしかなかった。
だが、そんな白紙状態の私の目に映った丈は、体調でも悪かったのか、なんとなく精彩に欠けて見え、台詞も二階の一等席で聞こえにくい。
そのため、筋書きを追いつつも私は芝居の内容が序々にわからなくなっていった。
「これが名門出身の役者なのか」それがそのときの私の正直な感想だ。




 

さらに90年3月に「蜘蛛絲梓伝」で扇雀丈が妖怪の化身として切禿の女童姿で出てきたのだが、その姿は女童というよりは妖怪そのものに近い気がした。変化舞踊で、台詞も全くなく、とにかく踊るだけなのだが、あの可愛げのない女童姿では、いかに扇雀丈が踊りの名手であっても観客を魅了することは出来ない。
手の振りが、足の運びがなどと、いくら評論家諸氏が褒め書きたてても、踊りによほど精通している人なら別だが、大半の観客は、そんなことに関心を持つ前に幻滅してしまう。
かわりに、口跡よく、芝居の主軸を的確に客席に伝える演技が出来る役者、花道に立つ姿が眩しいくらいのあでやかさを放つ役者、そういった場面に胸を詰まらせ、ときめくのだ。


この日、昼の部の最後は勘九郎丈と玉三郎丈の「鰯買恋曳網」であった。勘九郎丈に手を引かれた蛍火役の玉三郎丈が「いわし、くわぁえ―」という台詞を花道で、あの穂青く、しかし力強い声で高らかに発したとき、一瞬私は涙が溢れそうになった。
確かに「いわし、くわぁえ―」という声は、演技をこえて客席に響き渡った。
『玉三郎丈はこの舞台を楽しんでいる』そんな予感のような気持ちが湧いた。
歌舞伎座の天井を仰ぎ、微笑む丈の心からの声である。それは一昨年、團十郎丈相手に半分疲れたように舞台を動いていた玉三郎丈とはまるで別人であった。
それにしても、もし初めて観たのがあのときの團十郎丈の舞台だったら、私はおそらく今のように頻繁に歌舞伎座通いをすることは無かったに違いない。
幸い私は「ヤマトタケル」という。市川猿之助丈がその役者人生を賭けてプロデュースしたと言っても過言ではない舞台を見ることによってその世界に触れた。

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