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Eternal full moon/under_blog こそりとdeepに語ってます、はい。

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HN:
夜羽(よわ)
性別:
女性
趣味:
可愛い雑貨を集めること
自己紹介:
■wj系の趣味サイトを運営。

■サイトからのみお越しいただけます。ここからサイトへは入れません。

■他人の家族の日常に興味のない方はお引き取り下さいね。
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「今日はスタッフが多いようですねぇ。」
A部長がぐるりと社内を見渡して呟くように言った後、私とOさんの名前がみんなの前で呼ばれる。
「夜羽さんとOさん、夕方までゆっくりして来ていいですよ。ただし、行き先だけは副店長に伝えてくださいね。」

暇になりそうな平日、月に数日だけれど女の子を交代で外出させてくれた。
というのもスタッフばかりがぞろりといると、入り辛いというのが部長の考えで、ようは強制的に間引くのだ。
私は、たいてい渋谷のデパートにいたYのところに遊びに行った。


時はバブル末期、真面目に仕事をしなくても世の中にお金は有り余るほど回っていたからデパガなんて遊びながら仕事してる人種だった。
それでも、店内装飾をウインドウショッピングしながら覚えて帰り、実践してみせると部長や副店長に褒められたこともある。
今となってはただの冗談になってしまいそうな話だが事実。

 

余談だが、昭和30年代に学卒で入社した部長は銀座という街の変わる様を見続けてきた人だ。
店の入り口の大理石の低めの階段は広めなので座りやすいのかホームレスの方がたまにそこで食事をしていることがあった。

そんな時、部長はしばらくしてからさっと出て行きその人に立ったまま声をかけているようだった。
なぜなら時々ホームレスの人が姿勢のいい部長を見上げていたからだ。
しかし、部長が店内に戻ってくるとすぐにその人は立ち上がって去っていく。
どんな注意してるんだろう、と不思議な気持ちだったが訊ねるタイミングを失っていた。

ある日同じことがあったときに私の隣にいたNさんがぼそっと言った。
「A部長やるよなぁ。」
「どうして、あんなふうに追い払えるのかしら?」
「バカだな、追い払ってるんじゃねぇよ、お引取り願ってるんだよ。」
「?」
「(お食事が終わりましたら申し訳ありませんが今日はお引き取りください)って頼んでるんだよ。ついでにこの辺の情報を仕入れてるんだろうけどな。」
つまり、彼らから最新の銀座事情をさりげなく聞きだしていたのだ。前にも書いたけれど、部長は年配の男性にしては背が高く、若いときは美男子を思わせる容貌と柔らかな物腰と口調で同年代の奥様方に人気があった。

 


ちなみにNさんは20代後半の社内一の遊び人。毎日違う女の人の部屋から出社するような人で直属の上司のO部長にそのことでよく叱られていた。
もっと面倒なことに彼の兄が私の従兄弟の友人の彼で、ここに入社する前に従兄弟とその友人たち(Yも一緒)と10人くらいで温泉旅行をした事があって顔見知りだった。

なので、ふたりきりのときはNさんは私にぞんざいな口を聞くのが癪だったが根は悪い人ではない。
私ビジョンでは長身だがハンサムとは思えなかったけど、とにかく女性にはマメな男らしい。
素人のお嬢様タイプが顧客の大半だったのもわかる気がする。
ちなみにO部長は8丁目のママたちに絶大な人気があった。

それでも、入社した年のクリスマスイブに仕事が終わってからSさん(西の方も組の息子と噂される方)と一緒に店の通用口で待っていてくれて、「ここじゃ、クリスマスもバレンタインもあったもんじゃないからな。」と言って路地裏にあった「鳥ぎん」でご飯を食べさせてくれた。
(私は「与志万」の方が好きだったのは内緒)
 

私の口癖はものを訊ねるときなどに語尾に「~かしら?」と付けてしまう。
これは銀座で身についたものでなかなか抜けないけれど、懐かしい銀座時代の置き土産だと思っている。
 

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